尋常性乾癬

【尋常性乾癬はこんな疾患】
 尋常性乾癬は、かさかさした境界明瞭でやや盛り上がりのある発疹が多発する疾患です。原因不明で、日本人では家族内発症も比較的少ない疾患です。成人になってからの発症が多く、肘や膝、すね、腰回りなど外的な刺激によって病変を生じることが多いです(こすれやすい場所に出来やすい)。また、頭部や爪周りなどにも症状が出ることがあり、頭ではふけが多い、爪周りでは爪の変形や爪がもろくなる、といった症状が出ます。

 皮膚症状を見ることにより診断しますが、典型的な症状ではない場合などには皮膚生検(病変部の皮膚を一部切り取って調べる検査)を行います。また、皮膚疾患でありながら関節炎の症状を併発することがあるため、関節の痛みや腫れがないかどうかも調べる必要があります。

【尋常性乾癬の治療】
 治療には塗り薬を用います。ステロイド外用剤あるいはビタミンD外用剤で治療されることがほとんどです。また紫外線療法も有効です。日光にも紫外線が含まれていますので日光浴も有効ですが、当たりすぎるとかえって症状が悪化したりするなど適切な光線量を当てることが難しいので、普通は医療機関で機器を用いた治療が行われます。

 当院でも全身照射型の機器を導入しており、吹田市民病院や阪大病院で治療を受けられている方で、定期的な紫外線治療のために病院からの紹介を受けて治療に通っていただいている患者さんも多いです。

 飲み薬では、免疫抑制剤やビタミンA誘導体(レチノイド)などが用いられますが、どの薬剤も副作用に注意が必要ですので、重症で塗り薬や紫外線療法で十分な効果が得られない場合に選択されます。

 近年では生物学的製剤という選択肢があり、重症の患者さんには非常に有効な治療法になっています。定期的に注射をして治療しますが、慣れてくればご自身で自宅で注射して治療することも可能です(医療機関への定期的な受診は必要です)。免疫を低下させるなどの副作用があり投与前の検査が必要であることと、薬剤を処方できる医療機関が限定されているため(当院では処方できません)、適応となる患者さんには近隣の医療機関(吹田市民病院や阪大病院など)へご紹介させて頂いています。